症状

一昨年の3月に右足関節を脱臼骨折し、翌月にオペ施行。

去年の3月に抜釘のオペをする。9月まで整形外科でリハビリをしていた。

また、接骨院にも通い、五十肩の治療と並行して足関節の治療もしていた。

右下肢全体に膜が張っているような感覚がある。

階段降りる際、足関節前側と内側に疼痛あり。

足関節をかばっていたせいか、両膝関節の痛みあり。

関節リウマチの既往あり、薬は飲んでいる。

 

分析

足関節全方向に可動域制限あり(健足の5~6割)

歩行時の底屈可動域低下(母趾が使えていない)

前脛骨筋・長母趾屈筋の筋力低下

アキレス腱の癒着あり。

 

施術内容・経過

・アキレス腱周囲の癒着・むくみが強い。

・内側腓腹筋の硬さあり。

 

治療

感覚を確かめながら右足関節を中心に治療を行う。

歩行にてべた踏みの為、指の筋力を使うように指示。

 
(前回より1週後)

・治療翌日から両膝関節の疼痛は消失

・膜がはっているような感覚は内側のみに軽快。

・階段を降りる際、恐怖心は軽減。

 

治療

前回より範囲を広げながら、右足関節の底屈ストレッチとトレーニングを加えて行う。

 

宿題

腓腹筋・ヒラメ筋ストレッチを指導。

 

※翌日から仕事開始。

(長時間立位の状態で重い物を持つ仕事。歩行数:約10000~15000歩)

 
(前回より1週後)

・腓腹筋のストレッチで足関節前部に痛みが出る。

→足関節の可動制限がある為。以前から痛みあるので問題なし。

・右下肢が冷えている感覚あり。

・左膝関節に疼痛が出現したのは昨日だけでそれ以外は良好。

 

治療

前回より症状出現したため、範囲を広げず右下肢1本で治療を行う。

 

宿題

タオルギャザー、座位でのカーフレイズを指導。

→母趾を使用しての歩行を目的とする。

 
(前回より1週後)

・仕事量多い一週間だった。

→座位から立ち上がり時、左膝と足関節に痛みあり。(午後に多い)

・右母趾にハリで刺されている感覚があり。

 

再分析

・足関節前側の痛み。→骨折時の前脛腓靱帯損傷の可能性。

前脛骨筋の硬さ

・足関節内側の痛み →皮下組織の損傷の可能性

後脛骨筋の硬さ

 

治療

両前腕のほぐしを入れて、治療レベルを上げながら行う。

歩行チェックにて膝関節はKnee inで、足関節の外旋が強い。

未だべた踏みの状態は続いている。

 

宿題

前脛骨筋ストレッチの指導。

 
5・6回目(1週間後)

・仕事が忙しく、立ち上がり時、足関節の疼痛は残存。

→治療後、2日間は痛み気にならず。

自転車を漕ぐとき、可動域が上がっている感覚あり。

・下肢のむくみは減少しているが残存。

・背屈時の雑音あり。

→レントゲン上の前脛腓靱帯損傷によるアライメント異常(開大)の可能性

を説明する。

 

治療

右下肢を重点的に、負担のある左下肢も治療。

立ち上がる前に、足趾と足関節の動かしを指示する。

 
7回目(前回より1週間後)

・左膝窩:週初めから屈曲から伸展時に疼痛出現。

→5~6年前に、注射投与の既往あり。

・右足関節は背屈出来ている感じがする。

左の8割まで可動性アップ。

底屈はほぼ左右差ないところまで改

・足関節の痛みに関しては足趾の動かしの後でも残存。

→右下肢の筋力低下の為。

 

治療

前回同様、左膝周囲も重点的に治療を行う。

 

宿題

座位での後脛骨筋ストレッチを指導。

 
8・9回目(1週間後)

・左膝窩の疼痛は軽減。

→膝関節屈曲から伸展時の痛みも問題なし。

・足関節の疼痛は仕事後の帰り道に出現。現在、痛みの度合い:10→6

→長母指伸筋腱の硬さが強い。

 

治療

両下肢の治療と、右足関節可動性改善のストレッチ筋力トレーニングを入れる。

 
10回目(前回より1週間後)

・右足関節:問題なし。

ストレッチ、トレーニングはいつもより出来ていた。

 疼痛消失。

 

説明

トレーニングにて下腿の筋力を上げていく事。

 

 
11回目(前回より1週間後)

・正座をしようとすると母趾がつれそうになる。

・右足関節は気にならないくらいだった。

→可動域も上がっている感覚。

底背屈の可動性、健足の9割まで改善。

→右ふくらはぎ・後脛骨筋の硬さは左右差あり。

 
12回目(前回より1週間後)

・足関節は良い状態をキープしている。

→正座の時の、つる感じが無くなった。痛みなし。

・左膝関節も問題なし。

 

宿題

立位時での踵上げ(母趾の蹴り上げを意識して)を指導。

 
13回目(前回より1週間後)

右足関節は気にならない、関節可動性が上がっている感覚あり。
・左膝関節も問題なし。
正座時、母趾がつりそうになる。

宿題
立位時での踵上げ(母趾の蹴り上げを意識して)を指導。

 

担当者よりコメント

骨折されてから充分なリハビリを受けないまま時間が経つと、関節の拘縮は強くなってしまいます。痛みの有無に関わらず、関節可動性の低下はその関節に関連する筋肉にも悪い影響を与えてしまいます。拘縮が起こっている原因を明確にして正しく治療する事で、手術後の可動性を手術前の状態に近づけることは可能です。

今後は足関節付近の血流をよりよくしていくと共に、筋力を付けて不自由がなく生活が出来るようにしっかりケアしていきましょう。